デフレはとは何か?またデフレがもたらす日本経済への影響とは?

アメリカの中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、2022年8月26日にジャクソンホールで開かれた経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で講演を行った。その中で、インフレが抑制されるまでは企業や家計への痛みを伴ってでも当面の間は利上げを継続するという方針を表明した。

インフレは絶対悪と言わんばかりの発言であるが、実際にアメリカや欧州ではインフレが止まらないのが実態だ。

では、日本はどうだろうか、インフレが同様に進んでいるのか?否、日本は経済がデフレに陥って25年以上の年月を経て、今もなお、世界と比べるとインフレはまだまだ進んでいない。インフレが世界中で進行し、日本でもさまざまなモノやサービスの値段が上がり始めているが、長引いたデフレによる低価格競争の体質はまだ色濃いのである。

ここで気になるのは米国市場はインフレを抑制しようとする一方、我が日本国はデフレに悩まされているのである。本記事では、日本国で起きている「デフレ」とはそもそも何なのか、またどういったメリット・デメリットがあるのかという点について触れてみたい。

今回の記事は素人の孤独おじさんがまとめた記事なので、偉そうな論調と間違った認識については適宜、正して頂ければと思う。

今回の記事で分かること
・デフレとは何か?
・デフレのメリット・デメリットとは何か?

目次

デフレの定義

「デフレの日本とインフレのアメリカ」と揶揄される現代。デフレ・スパイラルから抜け出すため、日本銀行はここ10年近く、「2%の物価上昇」を目標に掲げてきた、漸く日本の消費者物価は今年4月、ついに2%の上昇を達成、デフレから脱却したように思える。しかし、その原因は消費者の需要増ではなく、外的要因であるコロナ禍やウクライナ戦争に起因したエネルギー高騰と原材料の価格によるものであった。

これでは当然、デフレから脱却したとはいえず、この状態は遡ること四半世紀以上も続いているのである。

「デフレ日本」の一体何が悪いのかという点について、そもそもデフレとは何かという点について触れておきたい。

経済とは物とお金のバランスにより成り立つものである。しかし、このバランスが崩れ、例えば紙幣の供給量が著しく低下した場合、①人々が物よりも紙幣=お金を優先してしまい、人々はものを買わなくなってしまいます。そうすると、企業は人々に物を買ってもらおうと、物の値段を下げる方向(=物価下落)へと走ります。これがいわゆる「デフレ」という現象だ。

IMF(国際通貨基金)や日本の内閣府はデフレを「物価下落が2年以上継続している状態」と定義づけている。ここで気を付けなければいけないのは①一時的な下落はデフレとしてみなされない、②物価全体が下落している状況がデフレであり、一部商品の価格が下がっているのは下落ではない、という点だ。ちなみに参考までに、以下が日本のインフレ率の推移である。

参考元:https://ecodb.net/country/JP/imf_inflation.html (世界のネタ帳)

ではこのデフレが続くことで、経済がどのようになるのか次項でみる。

デフレが経済にもたらす影響とは?

デメリット

物の見方を変えると、「物の値段が下がること」は消費者にとって良いことでは?という考え方も出てくる。しかし、これは断片的な物の見方であり、物の値段が下がることによる波及効果も考慮しなければなりません。

デフレとは「2年以上物価下落が続くこと状況」である。またこの状況下において、人々は物よりお金を重要視している。この状況下においては以下の循環が始まる、これがデフレの波及効果なのである。

①モノの値段は全体的に下落傾向
②人々は将来の方が価格は安くなると考え、買い控えが始まる
③企業は販売促進をさせようと更に安い価格設定
④儲からない状況・価格下落の悪循環が始まる
⑤従業員は失業・企業は倒産となる

最終的には物価下落、即ち値引きが加速することで企業は十分な利益を得られず、また企業は従業員に還元できず、という負のスパイラルに入ることで経済自体が悪化していくことである。

個々で見た場合、デフレの更なる問題は借金返済時の負担が契約時よりも相対的に大きくなるという点だ。例えば、1億円で家をローン購入した場合の金利5%とする。デフレが進み物価が下がったからと言って社会はこの借入額をまけてくれたりはしません。この場合に何が起きるかというと、実質的に値下がりした家の代金を、値下がり前の高い金額で払い続けなければならない点だ。これでは物価が下落した分だけ、実質的な金利負担は相対的に大きくなるのです。(例:家の価値が5,000万円まで下落した場合、金利負担率は10%となる)

また直近の状況では全く当てはまらないが、デフレ時には円高傾向になりやすいとされている。短期的には様々な要因があるため、デフレ=円高と一括りには出来ないであろうが、基本的には購買力平価の観点では「相対的にデフレ下においては通貨の勝ちは上昇する(逆にインフレの国の通貨は下落する)」とされている。

デフレ時における円高によるデメリットも日本経済を見るうえで、避けては通れない道であろう。

日本の製造業は産業別区分でいうと23%の大部分を占めている。そして製造業の過半数が輸出ビジネスに頼っているのである。2007年頃は為替が120円であったのに対し、2009年頃には為替は90円台にまで下落している。約25%の円高である。実際に、25%円高が進む = 25%の価格低減を図らないと価格競争力を維持できないのである。

図2 産業大分類別売上高の構成比:令和3年経済センサス‐活動調査 速報集計 総務省発表https://www.stat.go.jp/data/e-census/2021/kekka/pdf/s_summary.pdf

この短期間で25%の価格低減はほぼほぼ不可能に近いと言っても過言ではない。普通に考えると、よほどの利益率が高い製品でない限りにおいて、例えば薄利多売などではコストの大部分が人件費などの間接費やら材料費が占めているので不可能である。

また円高になった場合は外国製品の輸入価格が安くなる。これもまた、日本経済への影響が出てくるのだ。例えば、海外の安い農産物が市場に流れてくると日本の農産物は売れなくなり、日本の農産業は大ダメージを受けるのである。これは製造業も同じことが起きるのである。となると、日本の製品が売れなくなり、結果として経済が回らなくなるのである。

では、一切のメリットが無いのか?という点だ。これも見ていきたいと思う。

メリット

デフレによるメリットは正直、見当たらない。思いつくこととすれば、デフレ時の政策は通貨供給がメインとなるため、低金利政策、金融緩和、減税、財政拡大などの対策が打ちやすい。当然、経済対策となるため、効果が出るのであれば、国民から支持が得やすいというのもあるだろう。

後は個々人ではデフレの影響を受けない業種の人・富を持つ人によっては、市場価格がどんどん下がっていくのでその分いろんなものに投資が出来るので、一人勝ちの状況が続くのである。

他にはデフレのメリットが特に思いつかないので、円高によるメリットについても述べておこうと思う。個人で見ると、メリットは大きいように思える。というのは、円の価値が高くなることで相対的にドルなどの外貨が安くなり、海外の製品やサービスを安く買えるからだ。

その1つが、物を安く買えるという点です。個人で見た場合には、海外製品が安く買えるという恩恵を受けることが出来ます。日本経済というマクロの観点ではなく、よりミクロな視点から見ると、生活コストを安くすることが出来るのです。2つ目が海外旅行が安く行けるという点だ。

これぐらいでしょうか?

無理くりにマクロの視点でのメリットを考えると、日本の製造企業が海外に進出、そこで物を作って日本に輸入するというパターンにおいては消費者及び日本企業も得をするという構図がなり得ます。但し、規模の観点からどちらが有利に働くのかという点は見なければならない。

まとめ

今回の記事ではデフレそのものの定義と、メリット・デメリットについて触れてみた。

次回以降は、直近の米国経済の注目を浴びているデフレの指標の一つであるCPI「消費者物価指数」について触れたいと思う。またデフレ時における対策等についてみていきたいと思う。

以上

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次