【解説記事】FRBパウエル議長 ジャクソンホール講演 利上げ継続を強調か?

皆さん、どうもポンコツです。緊急速報です。8月26日の今日、NYダウの株価が前日比で▲890.11と大幅に下落しています。目覚める頃にはみなさんも衝撃を受けているかもしれません。ではいったい、この背景には何があるのでしょうか?

年次経済政策シンポジウム「ジャクソンホール会議」で、26日日本時間の23時頃に米連邦準備制度理事会(FRB)パウエル議長が継続的な利上げ、並びに金利を高い水準でしばらく維持する可能性が高いことを示唆したことで、市場が売りに出たというのが背景にある。

ここまでは良くニュースで見る内容であろう、しかし、いったいどれだけの人がパウエル議長のスピーチの細部にまで目を通しているのだろうか。ということで、今回はポンコツがパウエル議長のスピーチの一部を抜粋したいと思う。

以下が実際のスピーチとなる、参考程度に聴いてみるのもいいと思う。(パウエル議長の声は良い声なのだ)。素人なので、多めに見て頂ければと思う。

今回の記事で分かること
・パウエル議長のスピーチ内容の概要

パウエル議長のスピーチ
目次

スピーチの概要

スピーチは8分に亘って語られ、以下がスピーチの主なポイント/主旨となる。

①連邦公開市場委員会(FOMC)はインフレを2%まで引き下げを目標にしている
②金利上昇はインフレ抑制に効果がある一方、家計にも負担が重くのしかかる。一方でインフレを抑制できなければ、更に大きな負担となる。
③22年7月のインフレの指標結果(抑制方向)は好ましいが、未だインフレ抑制出来ていると言うには早すぎる。
④FOMC参加者による経済見通し(SEP)では、2023年末にFederal Fund Rate(連邦基金金利)は4%弱となる見込み。
⑤1970年から1980年にかけてのインフレで学んだことを再考する必要あり。

現時点でインフレ抑制が出来ていると言えず、金利上昇は家計負担に繋がるが、その痛みを伴ってでもインフレは抑え込まないといけない。要はインフレ抑制に関して、楽観的なコメントが無かったのが特徴だ。

実際に上記の内容を少し掘り下げてみたいと思う。

各ポイントの詳細

①FOMCはインフレを2%まで引き下げを目標

The Federal Open Market Committee’s (FOMC) overarching focus right now is to bring inflation back down to our 2 percent goal.

国のインフレ率を分析するための最重要指標は、消費者物価指数(CPI(Consumer Price Index)である。前年比」ベースの変化率が、基調インフレ率の測定に重視される。米国労働省が7月に発表した6月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比9.1%上昇となり、1981年11月の9.6%以来の9%台を記録した。このことからもインフレ抑制の目標と、実態値に大きく乖離があるのは理解いただけるだろう。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN100ZG0Q2A810C2000000/

まだまだ先の長い戦いになりそうである。

②金利上昇はインフレ抑制に効果がある一方、家計・企業にも負担が重くのしかかる。

While higher interest rates, slower growth, and softer labor market conditions will bring down inflation, they will also bring some pain to households and businesses. These are the unfortunate costs of reducing inflation. But a failure to restore price stability would mean far greater pain.

インフレを抑制する上で、必要なのは①金利の上昇、②経済低成長、③労働市場の緩和。この3つであると述べています。ここでのポイントは、これらは企業や家計に負担をもたらす一方で、仮にインフレ抑制に失敗した場合には、それ以上の痛みが伴うと述べている点です。要は、短期的には金利上昇等で家計に負担が掛かったとしても、それはやむを得ないと間接的に述べているのです。

③22年7月のインフレの指標結果はぬか喜び

While the lower inflation readings for July are welcome, a single month’s improvement falls far short of what the Committee will need to see before we are confident that inflation is moving down.

これは米労働省が8月10日発表した7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比8.5%上昇した一方で、事前の市場予想は8.7%であった。伸び率は3カ月ぶりに縮小した。前月比では横ばいとなり、20年6月以降続いていた上昇がとまった。という点に触れている。

上記氏表だけでインフレが止まったというには、この1か月で判断するには早すぎると言っているのである。

④2023年末にFederal Fund Rate(連邦基金金利)は4%弱

Committee participants’ most recent individual projections from the June SEP showed the median federal funds rate running slightly below 4 percent through the end of 2023. Participants will update their projections at the September meeting.

ここは自信が無い部分である。すまない。以下に示す通り連邦基金金利は現在、2%にも満たない水準であるが、インフレ抑制、経済引き締めの為に2023年末までに4%まで引き上げる可能性があると示唆されていた。この具体的な目標値については9月の会合時点で更にアップデートされるとある。この内容次第で、長期的な金利引き上げの目安も変わるのではと思う。

https://fred.stlouisfed.org/series/FEDFUNDS

⑤1970年から1980年にかけてのインフレで学んだ3つのこと

スピーチの後半部分で割と触れていたのがこの点である。割と時間をかけていたということもあり、重要なポイントだと推察します。

None of this diminishes the Federal Reserve’s responsibility to carry out our assigned task of achieving price stability. There is clearly a job to do in moderating demand to better align with supply. We are committed to doing that job.

一つ目の点ですが、過去のインフレ高騰時の反省を踏まえて、物価安定はFRB(中央銀行)の責務であるということを認識する。これをやり遂げなければならないという強い意思表示がここで示されています。何があってもインフレを抑え込むという強いコミットメントであり、楽観的な見方は一切していません。

The second lesson is that the public’s expectations about future inflation can play an important role in setting the path of inflation over time.If the public expects that inflation will remain low and stable over time, then, absent major shocks, it likely will. Unfortunately, the same is true of expectations of high and volatile inflation. During the 1970s, as inflation climbed, the anticipation of high inflation became entrenched in the economic decisionmaking of households and businesses. The more inflation rose, the more people came to expect it to remain high, and they built that belief into wage and pricing decisions.

二つ目は心理的な影響面を挙げています。例えば、国民がインフレ率が長期にわたって低い推移する想定した場合、特別な要因が無い場合においてはそうなる可能性が高いということです。逆を言えば、現在のようにインフレ率が上昇すればするほど、国民はインフレ率が高いままであると期待してしまい、賃金や価格設定にその心理が働き、インフレ上昇に繋がると言っているのです。

なのでこの後の文章でも、インフレ上昇が続くという期待を徹底的につぶす必要があると述べています。

That brings me to the third lesson, which is that we must keep at it until the job is done. History shows that the employment costs of bringing down inflation are likely to increase with delay, as high inflation becomes more entrenched in wage and price setting.

三つめは、インフレが抑制するまでは油断しない、やり続けなければならないとしています。インフレが長期で続いた場合には、インフレが止まった場合でも給与の増加等は遅れてくるというギャップが出てしまいます。なので完全にやり遂げるまでは途中で辞めないということに触れています。

1980年代の米国におけるインフレは上記もあり、何度も抑制に失敗したとも述べています。

まとめ

上記の文面だけですが、思ってた以上に強いコメントでインフレと徹底して戦うということが示されていると思います。これらのコメントを受けて、更なる金利上昇を見据えた市場心理が働き、株価が下落したと考えられます。

9月の金利に関わる主なイベントは次です。
9月2日:米国雇用統計 (重要)
9月13日:消費者物価指数 (重要)
9月15日:小売売上高
9月22日:FOMC (重要)

様子を見るぞ、おー!

以上

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